エイチタス株式会社

“共創”を通じたソーシャル・イノベーション創出支援

2016.05.26

全国初!アイデアソンが科目になりました ~京都造形芸術大学の試み

去る4月28日と5月12日の2日間、京都造形芸術大学のキャラクターデザイン学科の新科目「アイデアソン」にて、弊社代表の原が講義を行いました。

 キャラクターデザイン学科では、今年度から1年生が対象の前期科目に「アイデアソン」の授業が誕生しました。これは、全国でも初の試みです。この科目をとおして、アイデアも出しつつ、ファシリテーションもできる人材の育成を目指すという、意欲的な試みです。

 ゴールデンウィークを間に挟むかたちでの実施で、第1回の講義ではアイデアソンの事例紹介や分類とブレストを中心に発散フェーズのアイデアソン体験を、第2回ではアイデアを収束させていくアイデアソン体験を行いました。

 講師陣には、弊社代表の原の他にも全体のコーディネートを行っている石鍋大輔さん、そしてカオスパイロット(The Kaospilots/デンマーク)で日本人初の卒業である、株式会社レアの大本綾さんが参加し、刺激たっぷりな授業が展開されています。

 原が担当した講義では、前半後半の2回に分けて「京都が大好きになるアイデアソン」というタイトルで、学生さんたちにアイデアソンの体験とファシリテーションの解説を行いました。

 まず、1回目の講義では、「アイデアソン」とは何か?という座学からスタート。そして実践に移ります。

 まずは他己紹介でウォーミングアップをしたら、ブレストのメソッドを体験しながら、アイデアを出し合います。

 テーマは「修学旅行生にオススメしたい新しい京都の楽しみ方」。これから学生生活を送る街である京都を舞台に、自分たちに近い世代をユーザに設定することで、より当事者に近い目線でアイデアを生み出すことを目指しました。

 ブレインライティング、マンダラート、スピードストーミング、アイデアスケッチ作成、そしてハイライト方を用いての評価・投票といった、アイデアソンではおなじみのメソッドに一通り触れながら、アイデアシートに落とし込んでいきます。

 「人力車レースをやろう」「大文字焼きを電飾で」「観光バスを一般と修学旅行生とで分けて運行」などのソリューション、コンテンツ系アイデアが出てきました。

 実は京都造形芸術大学は、京都以外からの入学者が多いのが特徴のひとつ。関西圏以外から進学した学生さんもいます。彼ら自身も、京都の魅力を考えるきっかけになったのではないでしょうか。

 連休を挟み、次の授業ではアイデアソンの後半戦を行いました。

 前回の授業で発散させたユニークなアイデアを、複数の観点から絞ってアイデアの具体化をはかります。

 今回はチームに分かれて、チーム毎に選んだアイデアスケッチをブラッシュアップするワークに入ります。他のアイデアスケッチもアイデアの補強に使い、さらに面白くするためにアイデアスケッチをリライトします。

 アイデアの中身を揉んだあとで、このアイデアで喜ぶ人物を具体的にペルソナ化します。

 ここで、キャラクターデザインを学ぶ学生さんたちの“らしさ”が出ます。最初に人物像を絵にするところからはじめて、その絵をもとに、後からプロフィールをつめていくチームが複数ありました。これは他のアイデアソンではあまり見られない光景です。

 こうして出来たペルソナに沿って、その人物が喜ぶコンテンツへとアイデアを磨いていきます。まずはアイデアの長所を深掘りします。そのアイデアを利用する人には一体どんなベネフィットがあるのか?そこからさらにどんなよいメリットが生まれるのか?と、長所を深く掘り下げていき、そのアイデアの本質的な魅力がどこにあるのかを探ります。

 つぎは、破壊ブレストで、そのアイデアのネガティブな要素を洗い出します。今回は、他のチームに自分たちのアイデアを紹介し、他チームのメンバーが、定型文に沿ってそのアイデアを悪評に満ちたものへと破壊するという進め方を採用しました。

 仲間に向かって、相手を正面から否定するのは、少し勇気がいることです。ロールプレイを交えて、改善点の発見やポジティブな要素を引き出すための破壊であることを意識して行ってもらいました。何かを生み出すプロセスにおいて、批判は有効な手段であることを、学問の入り口に立つ1年生に気づいてもらえればと思い、入れたメソッドでした。

 そうして出されたアイデアの弱点をふまえて、改めて、ペルソナで描いた人物が最も喜んでくれるように、当初のアイデアを見つめ直していきます。

最終的なアイデアスケッチにサービス・ソリューションの形で落とし込んで、2日間に及んだ「京都が大好きになるアイデアソン」は無事、終了しました。

 デザインを学ぶ学生ということで、絵から発想していくというイマジネーションの広がりがあったことは、こちらも気づきを得ました。ビジュアルから描き出す発想技法を、彼らとともに進めていくことで、彼ら自身もユニークなアイデアを生み出せるようになるかもしれません。

一方、過去様々なアイデアソンでも感じていることでもありますが、自分が持っている経験・知識・情報のインプット量が、アウトプットの量や質に影響をおよぼす傾向が見られました。

入学したての1年生だったということもあって、時間までにコンセプトを作るのは難しかったようです。ここはファシリテーションで補う点でもありますが、彼ら自身も経験を重ねることで、どんどん上手になれる部分です。

今回の講義をきっかけに興味持ってくれた学生とは、卒業するまでの間に参加する側でも、あるいはワークショップを仕掛けるでもよいから、ぜひまた一緒にワークをする機会に恵まれれば、と思います。