2-8.分野別の設計の注意点② ~企業系案件(シーズ活用/社内起業/組織内活性)
企業系案件のポイント
シーズの活用を描く
想定主催者:大手企業の研究所など
設計の注意点
社会ニーズを自力で想定しきれない
a. シーズありきでニーズを歪めないように配慮する
→そのシーズを必要とされるようなニーズを、後付けで設定しないように注意する
b. 社会の変化を捉えられるようなインプットや検討を加える
→対象する領域の社会、経済、暮らしなどの変化を知り、考えるタイミングを設ける
c. 一般論·抽象論に終始させない
→統計やニュースなどの一般論で議論を抽象化させず、個別·具体の必要性を考えさせる
→ユーザ·顧客の機微な体験の差を考えるなど、デザイン思考寄りなプロセスを取り込む
シーズの活用案が当初の思い込みから抜けられない
a. 連携を想定する異分野のプレーヤーを幅広く集める
→ニーズがありそうな異なる複数の分野から参加者を集める
b. 結論を急がず発散型のワークを重点的に盛り込む
→研究職など発散に慣れていない参加者の発想をほぐす、ずらすなどの工夫を入れる
→ワークの意図を逐一説明することで、安心感を醸成する
社内起業による事業ネタを考える
想定主催者:大手企業の事業部など
設計の注意点
目的に対する参加者のグリット力が弱い
a. 本人にとっての参加動機を明確化させる
→やりたいことがないまま、社内起業のプログラムに参加するケースもありがち
→申し込み時に参加意識を問うようにする
b. 主催側の期待値と参加者の実態のギャップを明確にしておく
→参加人数の要件と参加意識の高低のバランスに配慮する
事後のアクションでフィールドワークに出たがらない
a. 共創に必要なリーンスタートアップのプロセスを解説する
→ユーザニーズを見極めるためにヒアリングや観察などが必要であることを説明する
b. プロトタイプや検証すべき価値を明確化させる
→プロダクトより先に、だれにどのような価値を提供してビジネスを生むのかを検討させる
→仮説を確かめるプロトタイプ案もしくはモックアップ開発までをアイデアソン内で行う
組織内活性の起爆剤とする
想定主催者:企業内の人材担当など
設計の注意点
アウトカムが見えにくい
a. 主催側と開催目的のコンセンサスを取る
→組織や人にどのような変化を起こしたいのかを企画の中で描き出しておく
→アンケートによる事前·事後の意識の変化の確認など、KPIを設けておく
多様性を描きにくい
a. 社内に参加者が限定される場合の多様性の設計
→職種、年齢、地域など異なる属性をできる限り混ぜる
→企画職·営業職×エンジニアなどシナジーを生みそうな参加者設計を意識する
b. ゲスト参加者を許容する
→異業種などからアイデアソンに慣れた参加者を「招待選手」として招き入れる
参加者が沸き立たない
a. 高揚感の演出とその継続性
→使用メソッドの設計およびファシリテーションにおいて抑揚、緩急などを意識する
→メソッドの日常的な活用を呼びかける
b. 開催意図を説明する
→なぜ、場が開かれているのを説明し、理解させた状態でワークを行う