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I-OPEN Central 共創ハンズオンプログラム 第2回フィールドラーニング 開催報告書

1開催概要

2026年2月19日(木)、岐阜県岐阜市にて「I-OPEN Central 共創ハンズオンプログラム 第2回フィールドラーニング」が開催されました。本プログラムは、中部経済産業局主催、エイチタス株式会社企画運営によるもので、本プログラムの参加者である「アジェンダオーナー」が、先進事例を現地で体験・観察し、新たな気づきと内省を促す場として実施されました。

開催目的

今回のイベントは、本プログラムの参加者である「アジェンダオーナー」(課題提案者)を中心に、自身の持つ課題・ビジネスプランを客観的で社会的な問いへと昇華させる「探究フェーズ」として、地域における先駆者の活動現場や哲学、地域のリアルな文脈に触れることにより、参加者が具体的なビジネスプランを進展させることができるようになることを目的として開催されました。

会場として、いぶき福祉会(岐阜県岐阜市)の各事業所が利用されました。

図1: いぶき福祉会 外観(岐阜県岐阜市島新町5−9)

図2: ゆめくるん工房 外観(岐阜県岐阜市島栄町2丁目51番地 甚八ビル1階)

図3: ほとり 外観(岐阜県岐阜市日光町3丁目47−1)

図4: 第二いぶき 外観(岐阜県岐阜市出屋敷493)

開催詳細

日時
2026年2月19日(水)11:00~17:00
会場
社会福祉法人いぶき福祉会の諸施設:
・いぶき福祉会 (岐阜県岐阜市島新町5−9)
・ゆめくるん工房 (岐阜県岐阜市島栄町2丁目51番地)
・日光町の家・ほとり (岐阜県岐阜市日光町3丁目47−1)
・第二いぶき (岐阜県岐阜市出屋敷493)
講師
北川雄史氏 (社会福祉法人いぶき福祉会 専務理事)
ファシリテーター
原 亮(エイチタス株式会社 代表取締役)
主催
経済産業省 中部経済産業局
企画運営
エイチタス株式会社
協力
社会福祉法人いぶき福祉会

参加者

下記のアジェンダオーナーが参加しました。

松浦克彦
株式会社picks design
齋藤肇ほか1名
有限会社ドラッグストアー・カミヤ
河辺祥代
ソフィア・アカデミア合同会社
吉川圭太
DERA-DESIGN

2.プログラム詳細

11:00-11:03
開会あいさつ(中部経済産業局)
11:03-11:05
開催趣旨説明(ファシリテーター)
11:05-11:10
いぶき福祉会の概要紹介(北川氏)
11:10-11:25
いぶき福祉会 施設内見学
11:35-11:45
ゆめくるん工房 施設内見学
11:50-12:00
日光町の家・ほとり 施設内見学
13:30-14:30
第二いぶき 施設内見学
14:30-15:00
講演:北川雄史氏(社会福祉法人いぶき福祉会 専務理事)
「ケアから生まれる協働社会 ~福祉で社会課題に挑むいぶき流アプローチ」
15:00-15:40
内省セッション:体験・観察セッション振り返り
15:40-16:10
内省セッション:いぶき福祉会とのコラボ案
16:10-16:25
問いの再設定セッション:問いの宣言
16:25-16:30
諸連絡・閉会
16:30-17:00
アジェンダオーナー同士の意見交換
17:15
撤収

プログラムセッション詳細

1. 開会あいさつ・開催趣旨説明

ファシリテーターの原亮(エイチタス株式会社 代表取締役)から本フィールドラーニングの主旨と目的が説明されました。

図5:開催趣旨説明の様子

2. いぶき福祉会の概要紹介・施設紹介

北川雄史氏 (社会福祉法人いぶき福祉会 専務理事)より、いぶき福祉会の概要紹介と、施設紹介が行われました。いぶき福祉会は障害福祉サービス事業を行っています。1980年代に、障がい児を持つ親や関係者による共同作業所として「いぶき共同作業所」が開設されたのを皮切りに、社会福祉法人いぶき福祉会が結成され、知的障害者通所授産施設・心身障害者小規模作業所、グループホームなどの拡張が続けられてきました。

いぶき福祉会は開所以来一貫した理念として、「どんな障がいのある方も生き生きと暮らしていける地域社会の実現」を目指しています。参加者が自己紹介と参加動機を共有し、互いの関心や課題意識を共有しました。

図6:いぶき福祉会の施設紹介

ゆめくるん工房では、かりんとうの生産、OEM事業などが行われています。

図7:ゆめくるん工房の施設紹介

「日光町の家・ほとり」はクラウドファンディングで開設されたショップで、施設で生産されたかんとうやジャムなどの販売が行われています。また、生活介護も行われています。

図8:日光町の家・ほとり 施設紹介

第二いぶき・パストラルいぶきは岐阜県北部にある事業所で、生活介護事業および居住支援事業(共同生活援助・短期入所)などが行われています。市内中心部の事業所と比較して、より障がいの重い方、医療的ケアが必要な方、コミュニケーション困難な方などがこの事業所で活動しています。草木染めの作業や、紙漉きクラフト、ジャム等の食品加工事業が行われていました。

図9:第二いぶきの施設紹介

3. 講演:北川雄史氏(社会福祉法人いぶき福祉会 専務理事)

第二いぶき内会議室にて、「ケアから生まれる協働社会 ~福祉で社会課題に挑むいぶき流アプローチ」の講演が行われました。

図10:北川氏による講演

社会福祉法人において、主な収益源は(1)公的財源(サービス給付費)、(2)事業収益(就労支援会計)、(3)寄付・会費・助成金の3つに大別されています。

法人設立のきっかけは、障がいを持つ子どもたちの親が「18歳以降の居場所や働く場所を作りたい」という思いで活動を始めたことにあります。草木染め事業についても、障がいを持つ子ども達の親が行っていた作業を参考にする形で始まりましたが、地域の人々から染料として使える様々な植物の提供を受けたり、農園の貸出や管理を受けたりする協力のもとで成り立っています。

和紙製造の事業についても、「製品を介して人との関係を構築し、作り手が社会と繋がる機会を創出する」ことをコンセプトして掲げ、作業プロセスを徹底的に細分化し、治具を活用することで、重度の身体障害を持つ人でも参加できるような工夫がされています。また、生産数が限られるため、単価を上げて商品化を進め、寺院など特定の販路を開拓しています。このようにすることでメンバーが主体的に作業に取り組めています。

また、法人内には2名のデザイナーが配置されており、商品のブラッシュアップを通じて「人とつながりを作ること」を主業務としています。デザイナーは、福祉の文脈ではなく、対象マーケット(例:ミュージアムショップ)の「共通言語」で製品価値を翻訳し、接続する役割を担っているとのことでした。福祉施設製品だからという理由で品質に妥協せず、衛生管理などが徹底されており、手間をかける強みを活かし、大工場では対応できない小ロット生産のOEMも手掛けています。

北川氏は、福祉事業における経営の独自性として、「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」の概念を提示されました。公的財源(障害年金や報酬)を基盤としつつも、それだけに依存せず、事業収益や寄付を組み合わせることで経営の持続可能性を高めています。特に、生産性や効率性のみを追求するのではなく、「丁寧に生きる」ことや「関係性」に価値を置く姿勢が強調されました。

関係性から生まれる経済価値として、まずは「ソーシャルキャピタル(信頼・つながり)」を育み、その結果として「経済的キャピタル(購買・寄付)」が生まれるという順序を徹底しています。単なる「物売り」ではなく、法人のストーリーを語り、ファンになってもらうことで、単なる「顧客」ではなく「パートナー」としての関係性を構築することを目指しています。

また、将来の人口減少時代や採用難を見据え、拡大路線ではなく「適正規模への縮小」と「質の向上」を模索しています。法人が「自分がいなくても回る組織」を目指し、福祉の枠を超えた企業や地域との協働により、新たな財源とセーフティネットを構築する戦略をもっていることが説明されました。

4. 内省セッション

講演や見学等の本日のプログラムを振り返り、アジェンダオーナーは自身の事業リソースといぶきの活動を掛け合わせる「コラボレーションアイデア」を検討しました。

たとえば、薬局との連携として、薬局で使用されている白衣をいぶきの草木染めで染める、薬の袋にいぶき作業者のアートワークを採用する、などのアイデアが出されました。

また、オンライン診療後の処方薬配送サービスに、いぶきのお菓子を同梱し、県外への認知拡大を図る提案や、AR技術を用いて製品の製造工程を可視化する提案や、理科実験(スライム作りなど)を取り入れたワークショップの開催などが提案されました。

図11: 内省セッションの様子

5. アジェンダオーナー同士の意見交換

アジェンダオーナーの試作プロダクトを体験し、フィードバックする時間が設けられました。

図12: 試作プロダクトの体験の様子

 

今回のフィールドラーニング全体を通して、本プログラムの参加者である「アジェンダオーナー」が、先進事例である社会福祉法人の取り組みを現地で体験・観察することにより、社会課題解決と事業の継続性に関する様々な示唆・気づきを得ることができ、自身の事業プランのさらなる深堀りを行うことができました。

以上

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